2015-2022「那須川天心vs武尊」の記録(上)始まりは2015年6月8日のラブコール
「10.8」(中日対巨人・史上初ペナントレース同率首位最終決戦)、「10.9」(東京ドームに6万7000人を動員した新日本プロレス対UWFインターナショナルの対抗戦)など、日付で語られることの多いプロスポーツ伝説の試合、興行だが「6.19」も、おそらくこの先、長く語り継がれるのかもしれない。
2022年6月19日、東京ドーム「THE MATCH/那須川天心対武尊」は既報通り1Rにダウンを奪い、終始試合をリードした、“神童”那須川天心が判定勝ちを収め、7年間にわたる、数奇なライバルストーリーに終止符を打った。
「武尊選手に感謝ですね。ありがとうございました。その気持ちだけですよ」(那須川天心)
長年、格闘技界に携わってもきた筆者にとって、ここまで複雑で長期化した展開は記憶にない。ねじれてこじれて、一時は実現不可能といわれながらも、昨年末に急転直下の決定。紆余曲折どころではない。奇跡である。そんな前代未聞の夢の対決が、いかなる経緯で始まり大団円を迎えたか、数回にわたって改めて書き残しておくことにする。