著者のコラム一覧
細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

2015-2022「那須川天心vs武尊」の記録(上)始まりは2015年6月8日のラブコール

公開日: 更新日:

「10.8」(中日巨人・史上初ペナントレース同率首位最終決戦)、「10.9」(東京ドームに6万7000人を動員した新日本プロレス対UWFインターナショナルの対抗戦)など、日付で語られることの多いプロスポーツ伝説の試合、興行だが「6.19」も、おそらくこの先、長く語り継がれるのかもしれない。

 2022年6月19日、東京ドーム「THE MATCH/那須川天心対武尊」は既報通り1Rにダウンを奪い、終始試合をリードした、“神童”那須川天心が判定勝ちを収め、7年間にわたる、数奇なライバルストーリーに終止符を打った。

「武尊選手に感謝ですね。ありがとうございました。その気持ちだけですよ」(那須川天心)

 長年、格闘技界に携わってもきた筆者にとって、ここまで複雑で長期化した展開は記憶にない。ねじれてこじれて、一時は実現不可能といわれながらも、昨年末に急転直下の決定。紆余曲折どころではない。奇跡である。そんな前代未聞の夢の対決が、いかなる経緯で始まり大団円を迎えたか、数回にわたって改めて書き残しておくことにする。

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