韓国映画は中高年世代が牽引 世界で評価される理由と日本映画に足りない視点
以前、インタビューしたある韓国人俳優は「韓国では若いイケメン俳優が主演でなくても、作品さえ良ければヒットする」と自信をのぞかせていた。一方、映画宣伝会社の担当者は「日本映画はキャスティングありき。もしくは漫画原作じゃないとヒットしづらい」と嘆いており、韓国とは対照的だと感じた。
1999年の「シュリ」以降、勢いづいてきた韓国映画だが、意外にも2003年に日本で起きた韓流ブームが悪影響も与えた。ブームの波に乗り、多くの韓国映画が日本で公開されたが、版権の価格が次第に高騰する一方で、明らかに駄作と思える作品も少なくなかった。内容よりも、日本で人気の韓流スターが主演かどうかのキャスティングが重視されたからだ。
そのため、韓国人でさえ見ないような薄っぺらい中身の映画まで日本で公開された。人気スターの主演であれば資金調達も楽にでき、韓国で大コケしても日本に高値で売れたのだ。
だが、行き過ぎた日本依存を危惧する声は多く、やがて韓国映画は独自の作品性を形成していく。それが米アカデミー賞での「パラサイト」の快挙につながったといえる。
そんな韓国映画界を元気にしているのがアジョシ(おじさん)パワーであることは間違いない。“おじさん”というと、その響きにネガティブなイメージもなくはないが、韓国映画で見るおじさんはタフでノリにノッている。