「裸のムラ」五百旗頭監督があぶり出す“家父長制”というこの国の宿痾
五百旗頭監督の動向を注視してきたぼくだが、彼もまた若いころぼくの作る音楽を愛聴していたらしい。そんな幸せな偶然があってSNSで連絡をとりあってきたが、今週末から公開が始まる「裸のムラ」のプロモーションで東京に出張してきた監督と初めて飲んだ。
彼の作品を非凡たらしめるのは、シニカルな視点、反復を駆使した編集、映像との安直な調和を拒む音楽の3つだとぼくは思う。そのセンスのルーツを問うべく「あのシーンはあの映画のオマージュ?」といった類いの質問をぶつけたが、本人は涼しげな表情で回答をはぐらかすばかり。的外れな質問を連発するぼくに気遣ってくれたのかもしれないが。
そんな監督がはっきりと言いきったのが「地方はこの国の縮図」。日本に生きる誰ものそばに家父長制は息づいているのだ。息子を秘書官に据える首相を嗤(わら)う資格はあなたにありますか、という問いを突きつけながら。