日本で生まれ育った趙寿玉、なぜ韓国舞踊家に?「芸事をする人にとって政治は関係ない」
K-POPダンスが流行して久しいが、韓国の伝統舞踊を長年、日本で踊り続け、伝授している舞踊家たちがいる。その一人であり、在日コリアン2世の韓国舞踊家・趙寿玉(チョウ・スオク)は、新宿区に韓国舞踊スタジオを構え、後進を育てながら公演を主催し、日本における韓国舞踊の普及に努めている。今年11月2日には渋谷区で公演を披露する。
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──日本で生まれ育ちながらも、韓国舞踊を始めたきっかけは何ですか?
私は長崎県の対馬の出身なのですが、幼い頃は朝鮮半島の文化に触れる機会が少なく、正直言うと自分の国があまり好きではありませんでした。自分を自分で差別していたのですね。周りの人々と異なることに、無意識に劣等感を持っていたのかもしれません。また、当時の韓国は軍事独裁政権下にあり、権力側がデモ隊を鎮圧するシーンをテレビで見て、怖い国だとも思っていました。
中学1年生の時に、家族とともに下関へ移り住んだのですが、在日韓国人団体が主催する勉強会などを通じて、初めて韓国語や歴史、文化を学ぶ機会に接し、とてもショックを受けました。また、地域の在日の集まりがあると、1世の人たちがどこからか打楽器を持ってきて、踊り始めるのですが、それが本当にすてきで、自分も踊ってみたいと思うようになりました。