日本で生まれ育った趙寿玉、なぜ韓国舞踊家に?「芸事をする人にとって政治は関係ない」
そういったことがあり、好きになれなかった自分の国について、より深く知るために、1981年に韓国に渡り、言葉と舞踊を学び始めました。韓国舞踊を通じて自分の国を知ることは、ルーツを卑下していた自分をいったん、ゼロにする作業だったのです。
──韓国舞踊の魅力について教えてください。
動作やビジュアルが統率された舞台の上での踊りも素晴らしいですが、私は農民や漁師が、豊作・豊漁を喜ぶ舞など、生活の喜怒哀楽から生まれた踊りにこそ、韓国舞踊の魅力があると思っています。私たちの公演では、一人一人の個性や生きざま、もっと言えば魂がにじみ出てくるような踊りを見せたいと思っています。
現代的なダンスに慣れた方にとっては静かな舞に見えるかもしれませんが、「静」の中にある「動」を感じていただきたいと思っています。また、演奏に使われる韓国特有の「チャンダン」という独特の強弱のあるリズムを感じることも、韓国舞踊観賞の醍醐味の一つだと思います。
──日韓関係が膠着状態にあります。