著者のコラム一覧
松尾潔音楽プロデューサー

1968年、福岡県出身。早稲田大学卒。音楽プロデューサー、作詞家、作曲家。MISIA、宇多田ヒカルのデビューにブレーンとして参加。プロデューサー、ソングライターとして、平井堅、CHEMISTRY、SMAP、JUJUらを手がける。EXILE「Ti Amo」(作詞・作曲)で第50回日本レコード大賞「大賞」を受賞。2022年12月、「帰郷」(天童よしみ)で第55回日本作詩大賞受賞。

和田靜香さんの作品群は昭和・平成・令和の時代のスケッチとして読み継がれていく

公開日: 更新日:

■バイトをかけ持ちして生計を立ててきた著者

 そんな和田さんが、世紀をまたぐ前後から音楽ジャーナリズムの世界で生きていく自信が揺らぎはじめ、40歳を越えるころからバイトをかけ持ちして生計を立ててきたことは、『時給はいつも──』を読んで初めて知った。生活維持のためのおにぎり屋の仕事(時給はまさに最低賃金だったとか)でさえ、コロナ禍でクビになったという。

 音楽ジャーナリズムから離れ、楽曲プロデュースに軸足を移して久しいぼくにとっても、和田さんが綴る「わが貧困の記」は他人事ではなかった。『時給はいつも──』を読んだ感想をツイートしたのがきっかけで、SPA!で対談が実現したのは2021年秋。社会や政治へのまなざしに共感を覚えながらも一度も会ったことがない、遠い街の文通仲間と初めて対面するような心地よい緊張感と感慨があった。

 その後も頻繁に会うわけではないが、LINEでいつもつながっている実感がある。気づけば共通の知人も増えた。そんな彼女が神奈川県の大磯町に通っていることは、昨年7月にLINEで知った。これから10日ほど取材で大磯に滞在すると記されていた。ぼくはいきなり大磯と聞かされたら真っ先に「ロングビーチ?」と反応してしまうんだけど、と告げたら、和田さんは春から大磯町議会の取材を進めていると答え、同町議会はパリテが実に20年も続いていることを教えてくれた。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ソフトバンク 投手陣「夏バテ」でポストシーズンに一抹の不安…元凶はデータ至上主義のフロントか

  2. 2

    「負けた」はずの琴桜が「勝った」ウラ事情…疑惑の軍配が大炎上《翔猿がかわいそう》

  3. 3

    大谷が2026年WBCを辞退する可能性…二刀流継続へ「右肘3度目手術」は絶対避けたい深刻事情

  4. 4

    広島先発投手陣に忍び寄る疲労の影…9月は防御率が大幅悪化

  5. 5

    小泉進次郎氏「死ぬまで働け」戦慄の年金プラン “標準モデル”は萩本欽一…なんでそうなるの?

  1. 6

    W杯8強へ森保J「5人の重要人物」 頭痛の種は主将・遠藤航の後継者…所属先でベンチ外危機

  2. 7

    SMAPファン歓喜!デビュー記念のラジオ番組で思い出す「SMAP×SMAP」“伝説の5人旅”と再結成の実現度

  3. 8

    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

  4. 9

    貴景勝は大関最短復帰が叶わずこのまま「引退」か…親方就任の準備はとっくに万端

  5. 10

    《柳田悠岐 #2》人並み以上のスピードとパワーを兼ね揃えていたがゆえの落とし穴