著者のコラム一覧
碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

玉城ティナ「鉄オタ道子、2万キロ~秩父編~」旅先の“ありのまま”と向き合う一人旅が心地いい

公開日: 更新日:

 玉城ティナ主演の連ドラ「鉄オタ道子、2万キロ」(テレビ東京系)が放送されたのは2022年1月から3月だった。

 家具メーカーで営業の仕事をしている大兼久道子(玉城)は、大の鉄道好きだ。出張先で地元の鉄道を楽しむのはもちろん、2日の有休を取って列車に乗り込み、ローカル駅や秘境駅を目指す。

 2年前は、駅舎が民宿を兼ねる函館本線の比羅夫駅に始まり、福島県・会津鉄道の大川ダム公園駅、地下40メートルのトンネルにある新潟県の筒石駅などを訪れていた。

 先週木曜の深夜に流された「秩父編」は2年ぶりの新作の前編だ。開通55周年の西武秩父線に乗り、終点の西武秩父駅で降りた道子は、横瀬駅までのんびりと歩く。途中で小さな滝を眺めたり、アニメの聖地巡りの男女と出会ったりするが、ドラマチックなことが起きるわけではない。

 横瀬駅前の食堂で食べるのも、ごく普通の野菜カレーだ。名所や名物には無関心な道子だが、食堂のおばちゃんの話には耳を傾ける。窓から見える武甲山を削って生まれたセメントが戦後、東京のビルや高速道路の建設を支えたというのだ。

 初めてのホームに降り立った時、必ず「ここ、どこだよ……」とつぶやく道子。その上で、行った先の「ありのまま」と自然体で向き合っていく。そんな道子流一人旅が心地いい。

 後編は12日(木)深夜に放送される予定だ。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高嶋ちさ子「暗号資産広告塔」報道ではがれ始めた”セレブ2世タレント”のメッキ

  2. 2

    フジテレビ「第三者委員会報告」に中居正広氏は戦々恐々か…相手女性との“同意の有無”は?

  3. 3

    大阪万博開幕まで2週間、パビリオン未完成で“見切り発車”へ…現場作業員が「絶対間に合わない」と断言

  4. 4

    兵庫県・斎藤元彦知事を追い詰めるTBS「報道特集」本気ジャーナリズムの真骨頂

  5. 5

    歌手・中孝介が銭湯で「やった」こと…不同意性行容疑で現行犯逮捕

  1. 6

    大友康平「HOUND DOG」45周年ライブで観客からヤジ! 同い年の仲良しサザン桑田佳祐と比較されがちなワケ

  2. 7

    冬ドラマを彩った女優たち…広瀬すず「別格の美しさ」、吉岡里帆「ほほ笑みの女優」、小芝風花「ジャポニズム女優」

  3. 8

    佐々木朗希の足を引っ張りかねない捕手問題…正妻スミスにはメジャー「ワーストクラス」の数字ずらり

  4. 9

    やなせたかし氏が「アンパンマン」で残した“遺産400億円”の行方

  5. 10

    別居から4年…宮沢りえが離婚発表「新たな気持ちで前進」