家入レオさんの出発点は尾崎豊『15の夜』…「シンガー・ソングライターという職業を知って固定概念が覆された」
音楽でなら許されることや、逃げ場があると思うことができた
「15の夜」のどこに共鳴したかというと、心の整理がまだついていない少年の嘘のない叫びがつづられているところだと思います。「盗んだバイクで走り出す」という歌詞にも。
尾崎さんはルールに反していることを大声で歌っている。しかも、それが圧倒的に支持されている。「盗んだバイク」というフレーズを聴いて、音楽でなら許されることや、逃げ場があると思うことができた。自分は自分であらねばならないとか、女子であらねばならないとかではなく、未来のレールに縛られることからの解放感があったのが救いでした。
尾崎豊さんにはいろんな逸話がありますが、本当のことは本人にしかわからない。尾崎さんの歌が人の心を惹きつけるということがすべてだと私は思います。
尾崎さんにもきっと破天荒な一面があったのかもしれませんが、それは私を含めてすべての人に言えることのような気もします。日々生活していて、みんな普通の人に見えるけど、その普通に見える人の心のどこかに激しさやむなしさが眠っているんだと思っています。朝起きて、スーツや制服を着て、電車に揺られたりしている人の中にこそ、誰にも知られたくない聖域があるというような。人には見せないそういう気持ちがあるからこそ、尾崎さんの曲に心を奪われてしまうのかなぁって。