家入レオさんの出発点は尾崎豊『15の夜』…「シンガー・ソングライターという職業を知って固定概念が覆された」
自己肯定感をあえて低く持ってみよう
音楽塾ヴォイスは私の原点です。そこで15歳の時に作った「サブリナ」という曲がレコード会社と事務所に持ち込まれ、「デビューは確約できないけど、東京に来ませんか」とお話をいただきました。私自身も迷い、父親にも反対されましたが、自分の人生にとって大きなチャンスだと思い、最初は実を結ばなくてもプラスにしていけばいいんじゃないかと考え、悩みぬいた末に上京しました。
デビューしてから、順調という感覚はなかったです。たくさんの方に支えていただいている自覚はしっかりとありました。恵まれていたと思います。でも、当時はそれに応えたいけど、自分の力不足を痛感する日々で、その何倍も悔しい思いや苦しい思いをしてステージに立っていました。
福岡から16歳で上京し、音楽で頑張るぞ! と意気込んできたはいいけれど、現実は厳しくて。私は何ができるんだろうかと思って、自信がなくなったり。どうして自分はここにいることができるのかと悩んだりすることもあった。だけど、その感情こそが歌のエネルギーになっている部分もありました。もしかすると尾崎さんもそうだったのかなと思ってみたりして。つねに自信がなくて自分に負けそうになるので、デビュー当時は本当に必死でしたね。
25年2月15日でデビュー14年目になります。毎年、新しいスタートラインに立っている気持ちです。私は例えばグラミー賞を取ろうが世界で一番聴かれている人になろうが、ずっと新しい何かを探して生きるタイプで、自分に満足することができない人間なんだと思います。
今、本屋さんに行くと自己肯定感について書いている本がものすごく出ています。でも、私は自己肯定感をあえて低く持ってみようと思っています。低いからこその可能性をずっと探していられる。
そしてそんな私がステージに立っていることで救われる人がいるかもしれない。自分に自信がなく環境にも恵まれない人にとっても、家入が音楽をやっていることで自分も大丈夫じゃないかと思ってほしい。私も誰かのためになっていると思うことがデビュー当時よりも格段に増えました。