<101>家宅捜索令状で知った「覚醒剤」の使用…精力剤も使わないのに?
オーバードースといい、死亡する可能性があるという知識は持っていたが、社長が覚醒剤を使用していることなど全くないから、誰かに飲まされたとしか考えられない。となると疑われるのは早貴被告しかいないことは、すぐにピンときた。社長は月に何度も東京・築地の聖路加国際病院に通って目を治療したり精密検査を受けたりして健康には人一倍気を使い、精力剤の類いやバイアグラなども使ったことがなかった。知らない人から何かの薬を勧められても飲まなかっただろう。
「覚醒剤を小分けしているのをパケって言うんですか? それを見なかったかと警察に聞かれました」
私は彼女が「パケ」という言葉を使ったことに違和感を覚えた。覚醒剤事件の取材もしたことがあるので「パケ」や「金魚」という隠語も知っているが、亡くなったときに社長が見ていたテレビ番組のことを答えられないほど記憶力がないというか、ゴマカしている彼女が、スラスラと「パケ」を口にしたのだ。
家宅捜索で車庫に置かれていた荷物から注射針が出てきたことも、彼女から聞いて知った。