がんセンターで3人死亡 入院短縮「腹腔鏡下手術」の危険度
■高難易度で実績アピール
聖路加国際病院内科名誉医長で、「西崎クリニック」院長の西崎統氏(消化器科)が言う。
「最初の2人は末期のすい臓がんだったそうですが、すい臓は胃や十二指腸、肝臓、小腸、大腸などの重要臓器に囲まれているため、開腹手術でも難しい。この複雑な位置関係を2次元モニターの画像を見ながら行う腹腔鏡下手術は、より難易度が上がります。通常、末期のすい臓がん患者に行う治療法ではありません。それでも挑戦したのは、症例数を重ねて経験を積みたかったのでしょう。もし成功したら、内外にアピールできますから」
医者が患者をモルモット代わりに使うのは言語道断。それで患者が急死しながら、週刊誌にスッパ抜かれるまで事実関係を隠そうとしたのも許せない。
「腹腔鏡下手術は、胃や大腸、小腸、肝臓、食道などあらゆる臓器に行われます。胃がんなど、ある程度安全性が確立されているものもありますが、それでも操作を誤ると、胃に穴が開くような大事故を起こし、命を落としかねません。腹腔鏡下手術で開腹手術より入院期間を短縮したい患者心理は察しますが、医師の説明をよく聞いて判断することです」(西崎氏)
問題の医師は、患者への説明も不十分だったという。こんなデタラメ医師が全国有数の病院にいては、患者は何を信じればいいのか。遺族は報われない。