鉛や汚染物質が続々…米国「水道水汚染」被害拡大の恐れ
ミシガン州フリント市の水道水から高濃度の鉛が検出された問題は、日本でも報道されました。発覚から5カ月が経ち、国の非常事態宣言が出されていますが、いまだ解決には至っていません。
フリント市は人口10万人のうち4割が貧困ライン以下で暮らしており、市は財政難を理由に2014年から、より安く水が引けるフリント川に水源を変更しました。その水に抗腐食剤を投入しなかったため、市内の古い鉛製水道管の表面が溶け出したのです。
鉛の健康被害は多岐にわたります。特に子供たちへの影響は深刻で、少量でも知能指数低下や神経症状などをもたらすことが分かっています。市は「水源を元に戻し、鉛の濃度も全般的に低下」と発表していますが、一度溶け出した鉛はシステムを汚染し続けているとみられています。
この問題については、水源変更直後から住民や研究機関、地元メディアが水質問題を報告していました。しかし、当局の認知・対応が大幅に遅れ、健康被害がさらに広がった恐れがあります。
鉛だけでなくバクテリアなどの汚染物質も発見され、急増したレジオネラ症発生(これまで10人死亡)との因果関係も疑われています。一方で、古い鉛水道管を全て取り換える工事は、政治的・官僚的な理由で実現に至らず、フリント市民の間には不安と共に当局への不信や怒りの声が高まっているのです。