著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

痛み止めは心臓に悪い

公開日: 更新日:

 痛みは人間にとってつらい症状です。手っ取り早く解消したいと思うのは誰でも同じです。そこで、痛み止めが医療現場で活躍することになります。

 かつて病院で出されていた痛み止めの多くは、今は薬剤師のいる薬局でも購入出来ます。読者の中にも、「頭痛腰痛で痛み止めが手放せない」という方が多いのではないでしょうか。それでは、こうした痛み止めは、安全な薬なのでしょうか?

 今多く使用されている痛み止めの成分は「非ステロイド系消炎鎮痛剤」と呼ばれています。この薬には痛みと炎症に関係のある物質「プロスタグランジン」を抑える仕組みがあります。しかし、プロスタグランジンには胃の粘膜を保護したり、腎臓の血流を保つような役割もあるので、それを抑えることによって胃潰瘍が出来たり、腎臓の働きが悪くなることがあります。

 最近、注目されているのが心臓への影響です。今年の「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」という専門誌に掲載された論文によると、非ステロイド系消炎鎮痛剤を飲んだ人は、そうでない人と比較して、20%程度心臓病(心不全)による入院が多かったそうです。また、この痛み止めの心臓への影響は、薬の量が増えれば増えるほど高くなることも分かりました。

 痛み止めは必要最小限で使用することと、心臓の悪い方はその使用を控えることが、何より大事なのです。

【連載】医者も知らない医学の新常識

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    石井琢朗コーチが三浦監督との《関係悪化説》を払拭、「ピエロ」を演じたCS突破の夜

  2. 2

    旧ジャニーズ“復活”で女帝復権か…米国でスルー状態のTravis Japanを日本メディアが一斉ヨイショの裏

  3. 3

    いまや大谷ドジャースこそ「悪の帝国」だ…カネ&人気&裏技フル活用でタンパリング疑惑まで

  4. 4

    巨人、阪神などライバル球団が警戒…筒香嘉智に復活気配、球際の弱さからの脱却

  5. 5

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  1. 6

    甲斐拓也だけじゃない!補強に目の色変えた阿部巨人が狙うソフトバンク「Cランク」右腕の名前

  2. 7

    大谷翔平は来季副収入100億円ガッポリ、ド軍もホクホク! 悲願の世界一で証明した圧倒的経済効果

  3. 8

    橋本環奈《山本舞香と友達の意味がわかった》 大御所芸人に指摘されていたヤンキー的素地

  4. 9

    番長・三浦監督の正体《サラリーマン、公務員の鑑のような人格》…阪神FA移籍せず残留の真意、堅実かつ誠実

  5. 10

    カトパン夫の2代目社長は令和の“買収王”? 食品スーパー「ロピア」の強みと盲点