野菜や果物の栄養で肺の病気を予防できる?
「慢性閉塞性肺疾患」という病気をご存じでしょうか。COPDと略されるこの病気は、かつて「慢性気管支炎」や「肺気腫」と呼ばれてきた病気の総称です。たばこの煙を主とする有害物質を長期に吸入することで生じる慢性的な肺の炎症であり、喫煙習慣を背景に中高年に発症する生活習慣病といえます。
果物および野菜の摂取とCOPDの発症リスクを検討した論文が、世界的に有名な呼吸器疾患の専門誌「Thorax」電子版(2017年2月22日付)に掲載されました。果物や野菜にはビタミンなど抗酸化作用のある栄養素が豊富に含まれています。それらの栄養素が肺の炎症を緩和させ、COPDの発症を予防する可能性があるというわけです。
この研究では、スウェーデン在住の男性4万4335人が対象となりました。被験者は、果物と野菜の摂取量に関するアンケート調査を受け、その摂取量に応じて5つのグループに分類されています。
平均で13.2年間にわたる追跡調査の結果、野菜・果物の摂取が一番多かったグループでは、一番少なかったグループに比べて、喫煙者で40%、過去に喫煙していた人で34%、統計的にも有意にCOPD発症リスクが低下しました。