大腸がん、食道がん…抗菌剤の3剤併用療法で予防できるか
このような状態になると、人はアポトーシスというシステムを発動させて細胞を「自爆」させ、身を守ろうとする。その結果、胃の細胞が“間引き”されて胃酸の量が減り、結果的に胃の粘膜が萎縮してがんになりやすい状態になるという。
「ピロリ菌に感染した人が全員胃がんを発症するわけではありませんが、お酒やたばこなどの生活習慣や遺伝などの要素が加わると胃がんリスクが高まるといわれています」(前出の専門医)
■歯周病菌は消化器がんのピロリ菌に相当?
近年は一部の大腸がんと腸内にすむ細菌の塊(叢)との関わりが報告されている。とくに注目されているのがフソバクテリウムだ。大腸がんの病巣内で繁殖し、発症への関与が指摘されている。
「この細菌は主に上部消化管や口腔内に生息し、歯周病の原因菌であることが知られています。大腸がんにとりつくとTリンパ球の浸潤を抑制して免疫を低下させ、がんが進行する状態をつくるとされています。私たちが食道がんについて調べたところ、より悪性度の高い食道がんに多く生息し、増悪などに関与していることがわかったのです」(馬場教授)