著者のコラム一覧
佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

5年目で悪性リンパ腫再発を繰り返しても20年で完治させた患者がいる

公開日: 更新日:

 抗がん剤は3~4週に1回のペースで8回繰り返しましたが、3回目の投与終了時にはリンパ節の腫大は消えました。この頃、同時に奥さんは体外受精が成功し、10カ月後には、かわいい女児が誕生しました。

 Rさんの治療も完遂し、5年後には完治と判断されました。外来で来院される時、Rさんはいつも娘さんの写真を見せてくれました。

■高齢でも治療は可能

 会社員のIさん(36歳・男性)は、顎の下、腋窩部にリンパ節腫大を認め、耳鼻科医院で生検されて「悪性リンパ腫びまん性大細胞B細胞型」との診断で来院されました。特に症状はなく、ステージⅡで早速、CHOP療法(3種類の抗がん剤に副腎皮質ホルモンを組み合わせた治療)が開始されました。

 3回目でリンパ腫は消失し、8回で治療終了。5年経過し、最後のCT検査で良好ならば完治というところでした。しかし、頚部に再発が見つかり、また治療をやり直すことになりました。

 薬剤を変更し、3回の治療で再びリンパ腫は消失。続けてさらなる地固め治療を行い、また5年が経過しました。「今度は大丈夫」と思っていたのですが、なんと同じく5年目で2回目の再発が認められたのです。それでも、Iさんは治療を続けてこれを乗り越え完治されました。リンパ腫が消えてから5年経過して再発がなければ治癒と考えます。Iさんのように5年目で再発を繰り返す方はほとんどいません。Iさんが担当医から「完治」の言葉を聞いたのは最初の治療から20年目です。本人もご家族もよく頑張ったと思います。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  2. 2

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  3. 3

    「かなり時代錯誤な」と発言したフジ渡辺和洋アナに「どの口が!」の声 コンパニオンと職場で“ゲス不倫”の過去

  4. 4

    中居正広氏「性暴力認定」でも擁護するファンの倒錯…「アイドル依存」「推し活」の恐怖

  5. 5

    「よしもと中堅芸人」がオンカジ書類送検で大量離脱…“一番もったいない”と関係者が嘆く芸人は?

  1. 6

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  2. 7

    入場まで2時間待ち!大阪万博テストランを視察した地元市議が惨状訴える…協会はメディア取材認めず

  3. 8

    米国で国産米が5キロ3000円で売られているナゾ…備蓄米放出後も店頭在庫は枯渇状態なのに

  4. 9

    うつ病で参議員を3カ月で辞職…水道橋博士さんが語るノンビリ銭湯生活と政治への関心

  5. 10

    巨人本拠地3連敗の裏に「頭脳流出」…投手陣が不安視していた開幕前からの懸念が現実に