前立腺がん・大腸がん<1>11時間に及ぶ大手術後に奇妙な夢を見た
元大手銀行員の吉田博行さん(65歳=東京・世田谷)はこの5年の間に、2つのがんに侵された。「前立腺」と「大腸(直腸)」のがんである。
2015年4月、独立行政法人国立病院機構「東京医療センター」(目黒区)で「大腸がん、ステージ3a」の告知を受け、11時間に及ぶ手術を乗り越え生還した。その直後、奇妙な幻覚を体験する。手術室からストレッチャーに乗せられ、集中治療室に搬送される間の出来事だ。
「一面、真っ黄色な菜の花畑があり、その上を風になびいて私が空中をフワフワ飛んでいるのです。その下に高校時代、バイクツーリングの遊び仲間で、バイク事故で即死した2人の友達がニコニコ笑っていました。俳優、故・丹波哲郎さんが描いたあの世の世界を再現するような……」
夢か、それとも仮死状態であったのか。看護師から肩を叩かれて目が覚めたとき、菜の花畑がパッと消えた。
「夢の中に、女房が出て来なかったのは申し訳なかった」と、ジョーク交じりに、壮絶な2つのがん体験を語ってくれた。
■「ついに来たか!」