NHK朝ドラで注目「ムンプス難聴」 医師が説く唯一の回避策
「おたふくかぜワクチンの接種が唯一の回避策です。しかし接種率が低いのは、医師の間ですらワクチンへの誤った認識があるからです」
■「今からでも受けるべき」
まずは、副反応への誤解だ。おたふくかぜワクチンには、無菌性髄膜炎、脳炎、精巣炎などの副反応がある。ところが、国立感染症研究所によれば、血小板減少性紫斑病を除き、いずれも「自然感染(ワクチンを接種せずに感染)」の方が発生率が高い。血小板減少性紫斑病についても「自然感染が頻度不明、ワクチン接種が100万人に1人」という少なさだ。
次に、「自然感染の方が免疫がしっかりつく」。確かに免疫はつくが、難聴のリスクを考えると、ワクチンを拒否する理由としては弱すぎる。
さらに、「片側の耳が聞こえるのだから問題ない」という考え。確かにムンプス難聴の多くは一側性難聴だが、両側性難聴のリスクがゼロでないのは前述の通りだ。加えて、一側性難聴であってもさまざまな困難がある。
「難聴側の音が聞こえづらい。いろんな声や音が飛び交う場所では聞こえづらい。音がどこから聞こえてくるか分からない。グループで話すと相手の話を聞き取れない。“無視された”と友人から言われることが続き、自分に自信がなくなったり、引っ込み思案になることもあります」