アルツハイマー病が治る? 日本人が世界初の研究結果発表
「カーリーの産生にDnaKが必須であることは過去の研究でわかっていましたが、今回初めて判明したのは、『DnaKが、カーリーの遺伝子発現に必須な2つのタンパク質を“世話(分子シャペロン)”する』『DnaKが、細胞質でタンパク質(カーリーを形作るのに必要)が凝集するのを防ぎながら、細胞の外に正しく運ばれるのを助け、カーリーが産生される』ということです」
つまり、DnaKの働きを抑制すれば、大腸菌はバイオフィルム形成などの機能を持つカーリーを産生できない。では、何を用いればよいのか? それが国際学術誌「Scientific Reports」に同じタイミングで発表した研究だ。
「まず、ポリフェノールの一種ミリセチンが、DnaKの働きを抑制し、カーリーの産生を阻害すること。さらに、カテキン(EGCG)がミリセチンより約10倍高い活性を持ち、より効率的にカーリーの産生を抑制することがわかりました」
カーリーの産生が抑制され、バイオフィルムが作られなければ、前述の通り、難治化・慢性化する感染症を予防できる。アミロイド線維が深く関係しているアルツハイマー病、パーキンソン病なども治せるかもしれない。実際の治療現場で応用できる日が待ち遠しい。