「大学ではいつもひとりのいわゆる“ぼっち”生活でした」
高校と違って、明確なクラスのない大学では、うまく居場所をつくることができず、孤立してしまう学生も多い。学食などでもひとりでいる。そのような学生を、若い世代では“ぼっち”と呼んだりする。
「卒論は、自分と周囲のズレについて哲学的に考察して書こうと思ったのですが、どう進めたらいいか、教授に聞くこともできませんでした。結局、提出できずに、大学を留年してしまったのです」
■卒論も就職活動も進め方が分からなかった
留年後にゼミに入ったが、指導教授が入院してしまい、きちんとした卒論指導は受けられずじまい。それでもなんとか卒論を提出して、卒業はできたものの、就職は決まっていなかった。
「就職活動をどうやったらいいか、まったく分からず、何もしていなかったんです」
現在の就職活動は、就活サイトを中心に進められ、早めのインターンも常態化しており、そのシステムは複雑を極める。高度なコミュニケーションスキルと情報収集力を求められるため、どこから手をつけたらよいか分からず、始める前から挫折する学生も多い。篠さんも例外ではなかった。