「白髪」が告げる 老化しそうな臓器となりやすい病気
白髪は生え際や髪の毛の分け目で目立つ。それは紫外線が当たりやすいからだ。
「また、毛包内の色素幹細胞を守る『ニッチ』といわれる微小環境が障害されたり、色素幹細胞の活動を活発化させる遺伝子が変異すると色素幹細胞が分裂しにくくなり、色素細胞は減少します」(青木氏)
放射線治療を受けたがん患者で、たまに治療後に、最初に生える髪が白髪になるのは、ニッチが放射能による障害を受けやすいから。色素幹細胞自身は比較的放射能に抵抗性があるので、髪が生えかわると黒い髪に戻ることが多い。
興味深いのは、この色素細胞は髪の毛だけでなく体のあちこちにあって、一定のつながりをもっていると考えられることだ。
「色素細胞は髪の毛のほか、皮膚、網膜の奥、内耳、髄膜などさまざまなところに存在しています。そしてその役割は外界からの過度の刺激から臓器を守ることです。たとえば、髪の毛や皮膚の色素細胞は主に紫外線から髪の毛や肌を守ります。目では光が集まる網膜の温度が高くなったり、酸素不足になったりするのを防ぐと考えられています。内耳の色素細胞は、聴覚や平衡感覚に重要です」(青木氏)