リスクを下げる働きも「お酒」と「脳卒中」の不思議な関係

公開日: 更新日:

 物悲しい秋がやってきた。人恋しさから会社帰りには自然と赤提灯に足が向く。そんな中高年も多いはず。気温が下がっていくことが生命維持に不安を抱かせ、日照時間の短縮が脳内の神経伝達物質セロトニンを減らすことなどが原因だが、そんな季節だからこそ注意したいのがお酒と病気の関係だ。「お酒好きには尿酸値とγ―GTPの高さは勲章」などと強がってみてもやはり病気は怖い。とくに冬に向けて増えていく脳卒中は死因第4位の重大病だけに気になる。「赤坂パークビル脳神経外科」(東京・港区)の福永篤志医師に聞いた。

「お酒は脳卒中の原因といわれますが、近年の研究では適度なお酒は逆に一部の脳卒中リスクを下げることがわかっています」

 脳卒中には2種類ある。動脈が詰まって脳に十分な血液が供給されずに起こる虚血性脳卒中と、脳の血管が破れて出血する出血性脳卒中だ。「脳卒中データバンク2015」によると、日本では75.9%が虚血性脳卒中で、残り24.1%が出血性脳卒中(5.6%のくも膜下出血含む)だ。

「日本人の栄養状態が悪かった時代の脳卒中は出血性脳卒中が多かったのですが、現在は栄養状態が改善し、虚血性脳卒中が増えています。虚血性脳卒中には、動脈硬化で狭くなった脳の太い血管の中に血栓ができて血管が詰まるアテローム血栓性脳梗塞、脳の細い動脈が徐々に詰まるラクナ梗塞、心臓でできた血栓がはがれて飛んで脳の動脈を塞ぐ心原性脳梗塞の3種類があります。以前に比べ、ラクナ梗塞が減少して心原性脳梗塞が増えていますが、適度なお酒は脳梗塞のリスク、とくにラクナ梗塞リスクを減らすことが報告されています」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐々木朗希を徹底解剖する!掛け値なしの評価は? あまり知られていない私生活は?

  2. 2

    江藤拓農水相が石破政権の最初の更迭大臣に?「隅々まで読んだ」はずの食糧法めぐり“逆ギレ誤答弁”連発

  3. 3

    「相棒」芹沢刑事役の山中崇史さんが振り返る俳優人生…地下鉄サリン事件「忘れられない」

  4. 4

    吉幾三(5)「お前のせいで俺と新沼謙治の仕事が減った」

  5. 5

    みのもんたさんが自身のスキャンダルで見せた“類まれな対応力”…明石家さんま、石田純一との共通点

  1. 6

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  2. 7

    大阪・関西万博もう間に合わず? 工事未完を「逆転の発想」で楽しむ方法…識者が皮肉たっぷり提唱

  3. 8

    日本代表FW古橋亨梧の新天地は仏1部レンヌに!それでも森保ジャパン復帰が絶望的なワケ

  4. 9

    維新は予算案賛成で万々歳のはずが…ゴタゴタ続きで崩壊へ秒読み 衆院通過の自民はニンマリ?

  5. 10

    松坂桃李「御上先生」第7話2ケタでV字回復へ 詩森ろばの“考えさせる脚本・演出”はTBS日曜劇場からの挑戦状