精神科医が語る「自殺者が少ない地域」7カ所の共通点
■ひきこもりの人も孤立はせず
これは、親子関係や所属するコミュニティーでも応用できる考え方だと、森川医師は指摘する。それぞれが「正解は一つではない」と捉え、相手の意見に耳を傾ける。
「自殺希少地域でもひきこもりの人はいましたが、孤立はしていなかった。周囲がその人となりを把握し、家にこもりたい気持ちを理解している。近所同士対立している人もいました。悪口を言いもするのですが、周囲はそれはそれとして話を聞き、派閥をつくるでも、村八分にするでもない」
ある自殺希少地域での特別養護老人ホームでは約40人の入所者がいたが、抗精神病薬を服用している人はゼロで、睡眠薬は2、3人。これは珍しいケースであり、森川医師は「最新の介護手法を用いた結果か」と考えていたという。
「しかし訪問すると、そうではない。ただ、一人が歌いだすとほかの入所者も歌いだす。独り言もとがめない。怒ったり、薬が必要なのでは、と考えるところも多いのですが……。あの人はあの人だといった理解が入所者やスタッフにある」