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永田宏長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

孤独<1>10~44歳で死因1位の自殺は孤独とも密接に関連

公開日: 更新日:

 今年の1月、イギリスで「孤独担当大臣」なるポストが新設されました。日本でも独居老人や孤独死などが問題視され始めています。しかし“大臣ポストまでつくるなんて、大げさではないか”と思われている人も多いことでしょう。国を挙げて、孤独死を減らそうとでもいうのでしょうか。

 もちろん違います。実は孤独問題は、公衆衛生上の大問題であり、ひいては深刻な経済問題でもあるからです。イギリスの場合、孤独による経済損失は、年間4.9兆円と見積もられています。

 まったく実感がわかないかもしれません。日本の場合をお話ししましょう。

 日本では、とりわけ現役世代の自殺が深刻な問題です。男性の10歳から44歳までは、自殺が死因の1位ですし、その後も上位に食い込んでいます。しかも自殺と孤独が密接に関連し合っているのです。

〈表〉は男性の自殺死亡率を、配偶者関係で分類したものです。50代で見ると、全自殺死亡率は36.6(50代男性10万人当たり36.6人)ですが、離別に限れば123.2(離婚歴のある50代男性10万人当たり123.2人)と、極端に高くなっています。これは同年齢のがんの死亡率(150.9)に匹敵し、心臓病の死亡率(62.3)を大きく上回っています。また死別や未婚でも、高い数字が出ています。有配偶者と比べて、単身者は著しく自殺率が高いのです。これが孤独の怖さです。

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