勝率5%の勝負なら「勝てる!」 松井理悦さん白血病と闘う
治療は当初、強力な抗がん剤で悪性の白血球をやっつけた後、骨髄移植をするという計画でした。ところが白血球の型が合うドナーが見つからず、時間的に間に合わないとなって白血球の型が完全に一致しなくても移植ができる「臍帯血移植」になりました。赤ちゃんと母体をつなぐへその緒にある造血幹細胞を移植するという方法です。
移植の瞬間は点滴なのであっさりしたものですが、新しい白血球がボクの細胞を敵とみなして攻撃するので、副作用はハンパありません。移植後の2週間で2割の人が亡くなるそうです。
その闘いを乗り越え、おかげさまでいったんは良くなり、1年後には薬も必要ない状態になりました。
ですが移植から2年半で再発し、しかも再発した場所は脳でした。その頃も相変わらずの仕事人間でむちゃしていて、出店したタイから帰国した翌日、体調が最悪なまま店まで5分おきに吐きながらたどり着き、その後タクシーで病院へ運ばれました。
今度は「このままだと余命2カ月」と宣告され、入院となりました。放射線、抗がん剤、飲み薬、そして「ズイチュウ」と先生たちが呼ぶ骨髄から脳へ送る抗がん剤注射も行われました。そんな中、医師から提示されたのは「このまま2カ月の余生を送るか、生存率5%以下の臍帯血移植を再び行うか」の2択でした。