勝率5%の勝負なら「勝てる!」 松井理悦さん白血病と闘う
病気をして、いろいろなことを深く考える時間ができました。それまでは事業を成功させることばかり考えていましたが、「思いやり」が生きるテーマになりました。なぜならボクはたくさんの人の輸血と臍帯血のおかげで生かされたからです。
その分、世の中にお返しをしたい。今は「人生はいかに多くの人を幸せにするかというゲームみたいなもの」だと思っています。車イスになって低い目線から見える世界は、また一層違います。駅の改札口で「お先にどうぞ」と言ってくれる人がいるかと思えば、無理やり割り込んで改札を走り抜ける人もいます。「2~3分で次の電車がやってくるのになんで?」と思います。
現在、通院は2週間に1回。足の帯状疱疹でまた入退院を繰り返していますが、経営は順調になってきたので「目指せ100店舗」を目標に掲げています。そしていつかヨーロッパのサッカーチームを買いたい。これ、本気です(笑い)。
(聞き手=松永詠美子)
▽まつい・まさよし 1979年、大阪府生まれ。暴走族的なことをしていた10代を経て20歳で上京し働きながら社会人入試で専修大学に入学。25歳で食品や車のタイヤの輸出入や輸出入代行を行う貿易会社を起業。翌年にからあげ専門店「天下鳥ます」1号店を開店し、2019年6月現在、海外4店舗を含め28店舗を展開している。難病患者を経済面からフォローする「ひつじ基金」も立ち上げた。著書に「白血病社長~意志あるところに道はある」(セルバ出版)がある。