手術はなくなる?心臓弁の交換や動脈硬化はカテーテルで治療
高度に石灰化した動脈硬化には「ロータブレーター」治療が行われる。カテーテルの先端に高速回転する人工ダイヤモンドをとりつけて閉塞部分を削り取り、血管内を広げる治療法だ。
「心臓を丸ごと人工心臓に置き換えるにはまだ時間がかかりそうですが、劣化した心臓のパーツを人工物に置き換える技術は進んでいます。ポンプ機能を代行する補助人工心臓(VAD)は、実用域に入り始めています。17年には重症心不全の患者に対して新しいタイプの植え込み型補助人工心臓が開発され、治療の国内初成功例が大阪大学から発表されました。感染などの問題が起こりにくく、患者の日常生活の制限がないのが特徴です。小型のポンプをカテーテルで心臓の左心室に埋め込むことで動かなくなった心臓の代わりに全身に血液を送る装置も同年に保険適用になりました。iPS細胞由来のシート状に調整したものを心臓表面に移植し、弱った心臓の筋肉を復活させる治療法の開発も進んでいます」
次世代エース級とされる慢性心不全治療薬の使用も15年から米欧で始まっている。心臓を保護する神経ホルモンの機能を促進し、過剰に活性化したレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)を抑制するものだ。日本でも19年夏に承認申請された。
心不全も克服できる疾患になりつつあるのだ。