手術はなくなる?心臓弁の交換や動脈硬化はカテーテルで治療
「弱った心臓のパーツを蛍光灯のように交換する技術が進み、心不全になる前に原因となる病気を治療できるようになっているからです。既に、心臓弁を交換する外科手術は確立していますが、手術リスクがあり、必要な人すべてが受けられるわけではありませんでした。しかし、いまは他の疾患や心臓手術後の再手術、持病の薬などの理由で大がかりな開胸手術に耐えられないとされた人でも受けられる、体に優しい手術法が登場しています。また、補助人工心臓やiPS技術を使った心筋シートなど心臓のパーツ開発も進んでおり、今後、心不全で亡くなる人は減っていきます」
高齢者に多い慢性心不全の代表的な原因が「僧帽弁閉鎖不全症」だが、2018年4月に新治療法が保険適用になった。
「僧帽弁とは心臓の左心房と左心室の間にある大きな2枚の弁で、血液の逆流を防止してくれます。これがうまく閉じないと、左心房から左心室に流れる血液の大部分が逆流し、左心室に負担がかかり、息切れや不整脈などの症状があらわれます」
僧帽弁閉鎖不全症の患者は、発症から5年程度で動悸や立ちくらみ、全身の倦怠感を引き起こす心房細動を発症して重篤な心不全に移行したり、ペースメーカーが必要な強度の不整脈を起こしたりする。心房細動による脳梗塞も多い。統計上は発症10年程度で9割が心臓死するか、外科手術が必要となるとされる。