日本で年間9.4万人が死亡「肺炎」とはどういう病気なのか
「肺炎が疑われたら、適切な薬を選択するため原因菌を突き止めます。しかし、培養検査には時間がかかるため、症状やその経過から原因菌を推定して治療を始めることがあります。そこで重要なのが胸部画像検査です」
細菌性の肺炎は、呼吸のガス交換を行う部分である肺胞で肺炎球菌などの細菌が増殖し、炎症を起こす。そのため、膿性の痰が出るほか、胸部エックス線検査ではっきり指摘できるような濃い影が出現する。ウイルス性肺炎は肺胞壁やその周辺の“間質”と呼ばれる場所で炎症が始まることが多く、薄いすりガラス状の影しか出ず、軽症ではCT検査でないと分かりづらい。
■新型は急に悪化するので要注意
一方、新型コロナウイルスによる新型肺炎は、初期には両側性に肺末梢のすりガラス状の影が出ると報告されている。風邪症状が10日ほど続き一気に重症化するという特徴がある。つまり、新型は他のウイルス性肺炎同様に、早期診断にはCT検査が有効ということだ。
「細菌性肺炎は、抗生物質により多くは症状が改善します。しかし、ウイルス性肺炎はインフルエンザウイルスなど、一部のウイルスしか治療薬がないのが現状です」