放っておくと命に関わることも…鼠径ヘルニア最新手術事情
「鼠径ヘルニアの手術では、ポリプロピレン製のメッシュという人工補強材で患部を補強するのですが、オンステップ法はこのメッシュを、精索をまたいで筋膜の下と筋肉の上という違う層で補強するのが特徴です。こうすると精索でメッシュが固定されるので、メッシュが安定し、神経を傷つけることなく補強することができる。男性にしかない精索を必要とするので、女性には使えない男性独自の術式です」
日本において鼠径ヘルニア手術件数は年間15万件以上と推計されている。柳院長によると、腹腔鏡による手術も可能だが、同手術は切開が小さく術後早期の痛みが少ない代わりに、合併症のリスクもあり全身麻酔が必要で、手術費用も開腹手術の倍以上かかる。気管内挿管や尿道カテーテルの挿入も必要になることが多いため、入院になることが普通だ。一方、開腹手術、特にオンステップ手術では、全身麻酔が不要で日帰り手術に適しており、合併症リスクが低いという。
同院では手術当日は、手術時間を含めて1時間30分程度の病院滞在時間で、費用は3割負担で4万3000円ほどが目安になるそうだ。