<8>カラオケ、ライブハウスのクラスターに惑わされない
■感染経路の検証が先
そもそも普段の生活で他人の口や目や鼻に向かって飛沫を飛ばす人はまずいないし、仮におしゃべりしたり、歌ったりすることで感染が起きたとしたら、より多くの人に感染場所となる口や鼻や目に強い免疫応答が生じて赤く腫れたり、熱を持ったり、こわばりが出るなどの異変が起こるはずだ。第一、それが本当なら、マスクが常態化する以前の2月、3月にはより多くの人が感染していたろう。
「科学的に考えてこの中で最もリスクが高いのは接触感染だと考えます。ただ、よく感染リスクの高い手で口や目や鼻を触るのが危ない、人は知らず知らずのうちにこうした場所を触るので、マスクがそれを予防する、などという話を聞きますが、本当でしょうか。幼い子供は別ですが、危ないと知って意識すればこういう場所を触ることはないでしょうし、感染しやすく重症化リスクのある中高齢者はなおさらです。実は、接触感染とは飛んだ飛沫やエアロゾルが落下して食べ物や飲み物、口にするお皿やコップなどに付着・蓄積したものを口にする『媒介物感染』のことなのに、それを理解している人が意外に少ないのです」