完治困難な膵臓がんの治療が変わった 新薬が6年ぶりに登場
■2次治療も変わった
2次治療では、最初の治療(1次治療)で使わなかった抗がん剤を使う。しかし2次治療で有効性が証明された抗がん剤はなく、医師が手探りで薬を投与していくしかなかった。今回の新薬「イリノテカン リポソーム」は、2次治療での有効性が初めて証明された抗がん剤だ。治験では、「ゲムシタビンとナブパクリタキセル」など、ゲムシタビンを含む1次治療を受けた後、増悪した患者を対象に、「新薬単独」「抗がん剤5―FUとその増強剤(従来2次治療でよく使われていた薬。以下=5―FU/LV)」「新薬+5―FU/LV」の3群の全生存期間を比較した。結果、「新薬と5―FU/LV」の併用群が、新薬単独、従来薬のいずれよりも全生存期間が有意に長かった。つまり、新薬と従来薬の併用が2次治療で有効であると証明された。
「2次治療でエビデンスのある治療法が登場した。患者さん、そのご家族、医療者が待ち望んでいた治療法です」
悪心、好中球数減少、食欲減退、白血球数減少、下痢、便秘などの副作用が治験で確認されている。ただし新薬は、1次治療の選択肢のひとつ「フォルフィリノックス」に含まれる抗がん剤イリノテカンをもとに開発したもので、膵臓がんの抗がん剤治療経験がある医師なら、ある程度管理に慣れている。とはいえ新薬なので、未確認の副作用が出てくる可能性もあり、慎重に投与しなければならないことは言うまでもない。