感染封じ込め成功国からの帰国<2>空港を出るまで2時間かかった
いつもなら、長い“歩く歩道”に乗って入国審査に向かうが、この日は違う。
入国審査を前にして、各種の質問項目に回答しなければならない。
「日本滞在場所の住所、連絡方法」「成田から目的地まで、交通機関による移動方法」「健康状態」などで、記入して係官に用紙を渡すと、続いて抗原検査である。
綿棒のような器具で採取された唾液が、試験管に入れられた後に、整理番号札が手渡しされる。待機所に移動し、整理番号が記入された同じ椅子に座り、コロナ検査の結果を待つ。
抗原検査を受けるのはもちろん初めてで、病院の待合室で、がんの診断結果を待つような心境である。
「結果を待つ間、落ち着きませんでしたね。陽性だったらと思うと不安になりますよ。私の列に並んでいた日本人同士の会話を聞いていたのですが、“検査結果が出るまで7時間かかった人もいる”などと言っておりましたね」
30分ほどして係官から、淡いブルー色をした日本語と英語で表記されたハガキ大ぐらいの用紙を渡された。こう書いてある。