コロナ禍での自殺者増であらためて考える がん患者の心の問題
友人は「あんなにショックを受けるなら、しかもこんな猛暑の中、病院に行かせるのではなかった」と言います。さらに、これから何回か検査に行かなければならないとのことでした。
私は、もしもがんであれば早く見つかったほうがよいこと、コロナや熱中症に気をつけて頑張って奥さんをサポートしてほしいと友人に話しました。
電話を終えた後、奥さんががっくりされていることを考えながら、ずいぶん昔の出来事を思い出しました。本人とは面識がなかったのですが、がんを患っていて自死された方の葬儀に出席した時のことです。
亡くなった方の母親は、我が子の棺にしがみつきながら、「私がついていたのに!」と泣き叫び続けていました。献花をする出席者もみんな泣いていました。本人もかわいそうでしたが、あの母親はその後どう生きられたのだろうか……とても心配でした。
■「がん=死」をイメージする人は多い
がん患者の心の問題は国ではどう考えられてきたのでしょう? 18年3月に閣議決定された第3期がん対策推進基本計画には、「我が国のがん患者の自殺は、診断後1年以内が多いという報告があるが、拠点病院等でも相談体制等の十分な対策がなされていない状況にある。がん診療に携わる医師や医療従事者を中心としたチームで、がん患者の自殺の問題に取り組むことが求められる」と書かれています。