著者のコラム一覧
佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

乳がんで妻を亡くし「時間が解決してくれる」と言われたが…

公開日: 更新日:

 つい最近、奥さまを乳がんで亡くされたAさん(67歳・男性)のお話です。

 奥さまは手術を受けてから5年間、闘病を続けていました。背中に痛みがあって入院され、およそ1カ月が経過して少し痛みが治まってきたところで亡くなられました。

 Aさんは、まさかこんなにあっけなく亡くなるとは考えてもいませんでした。担当医から、骨や肝臓などへの転移があることは聞いていましたが、詳しく説明されていたわけではありません。コロナ禍もあってか面会時間が制限されていて、奥さまとはそれほど話も出来ませんでした。

 亡くなった後、担当医から「がんが高度に進行した状態だった」と説明されましたが、Aさんには何だか言い訳がましく聞こえました。

「それにしても、もっと看病をしてあげたかった。痛い背中をさすってあげたかった。何も出来なくとも、もっとずっと病室にいてあげたかった」

 そう、Aさんは思いました。

 奥さまのご遺体は病院から斎場に運ばれ、Aさん、娘、息子の3人で骨を拾いました。がんの転移があったという背骨を特に気をつけて見てみましたが、あまりよく分かりませんでした。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸30億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」