著者のコラム一覧
佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

「なぜ看護師になったのか?」コロナ病棟に勤務してから頭をよぎる思い

公開日: 更新日:

 病院の看護師寮に住んでいるAさん(28歳・女性)がこんなお話をしてくれました。

 ◇  ◇  ◇ 

 私は看護学校を卒業後、ある病院の消化器内科病棟に勤務しました。入院患者の中には胃がん大腸がん、膵臓がんが進行し、亡くなる方がたくさんいらっしゃいました。当時、私は夢中になって患者さんのために一生懸命がんばりました。担当した患者さんが亡くなった時は、遺族の方から「よくやってくださいました。ありがとうございました」といった感謝の言葉をしばしばいただきましたが、私自身は、夜ベッドに入ると亡くなった方を思い出し、「もっとやれることがあったのではないか」と反省を繰り返していました。

 去年の春からコロナ病棟ができて、そこに勤務するよう命じられました。私は嫌とも思いませんでした。コロナへの対応については、政府もマスコミも「医療者に感謝」と繰り返し、ブルーインパルスが空に舞ったこともあります。しかし、コロナ病棟では、同僚がひとり、またひとり……と辞めていきました。

 先月は、同じ病棟で一度に3人の看護師が職場を去っています。ひとりは出産で、ひとりはコロナ患者のいない病院へ移りました。もうひとりは、いったん看護師を辞めて故郷に帰るといいます。すぐに他の病棟から補充の看護師がやって来ましたが、コロナ病棟でのルールや感染防御について教えるのはいつも私の役目です。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  2. 2

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  3. 3

    参院選で自民が目論む「石原伸晃外し」…東京選挙区の“目玉候補”に菊川怜、NPO女性代表の名前

  4. 4

    NiziU再始動の最大戦略は「ビジュ変」…大幅バージョンアップの“逆輸入”和製K-POPで韓国ブレークなるか?

  5. 5

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  1. 6

    サザン桑田佳祐の食道がん闘病秘話と今も語り継がれる「いとしのユウコ」伝説

  2. 7

    我が専大松戸の新1年生は「面白い素材」がゴロゴロ、チームの停滞ムードに光明が差した

  3. 8

    逆風フジテレビゆえ小泉今日子「続・続・最後から二番目の恋」に集まる期待…厳しい船出か、3度目のブームか

  4. 9

    新沼謙治さんが語り尽くした「鳩」へのこだわり「夢は広々とした土地で飼って暮らすこと」

  5. 10

    石橋貴明のセクハラ疑惑は「夕やけニャンニャン」時代からの筋金入り!中居正広氏との「フジ類似事案」