腸内細菌叢も5パターンある 血液型の研究は「病気」から「健康」へ
一方、食物繊維のセルロースを分解して消化を助けたり、整腸作用を促したりする菌(実際に整腸薬に使われている)も含まれています。つまりクロストリジウム属は善玉・悪玉を取り交ぜたグループで、それが分泌型のA型の腸内に多くすみついているというのです。
この結果を受けて、ドイツの研究チームが9000人の糞便を使った大規模な研究を行いました。論文は「ネイチャー・ジェネティクス」という世界トップレベルの学術雑誌に掲載されています。この研究で、組織血液型抗原が、細菌の腸壁への接着の手がかりになっているだけでなく、実は彼らの重要な餌にもなっていることが分かりました。とくにA抗原とB抗原が細菌たちに好まれるようで、O型と非O型では細菌叢の構成に違いがあることも明らかになりました。
組織血液型抗原に関して、腸内は5種類(非分泌型、分泌型A/B/AB/O型)に分かれているわけですが、腸内細菌叢もそれに応じて5パターンに分かれているのかもしれない──そういうことが解明されつつあるのです。長年の「血液型と病気」の研究が、「血液型と健康」の研究に変わる節目にきていると言っていいでしょう。