認知症を悪化させてしまう接し方とは? 不安は進行リスクを高める
それでは、どうやって接したらよいのでしょうか。私は認知症の方のご家族には「子育てと同じようにしてください」と伝えています。たとえば、着替えがもたついていても焦らず待ってあげること、食後に「ご飯を食べてない」と言われたら、「ちょっと待ってね」と注意をそらしてあげることなどです。
アルツハイマー型認知症以外でも、レビー小体型認知症の場合、幻視症状が出現して「そこに子どもがいる」と言われたら、否定せずに「どんな子どもなの?」と会話を広げてあげましょう。
認知症の方のご家族や周囲の方は、本人の目を見て話をしっかり聞いて、納得がいかなくても、まずは「そうなんだ」といったん受け止めます。会話をすることで主体性を引き出せますし、不安が払拭されますから、認知症の症状も悪化しにくいことが分かっています。
認知症は平均余命が5~10年といわれます。ちょうど子どもが生まれてから小学校低学年までの時間と重なります。介護は大変ですが、ご家族には病気ではなく、人生の最後の生理的変化と捉えてもらえたらありがたいですね。