足を失わないためのフットケア 血流が低下する冬だからこそ気をつけたい
手鏡で足をじっくり観察する
そんな石原院長が足の健康を保つために最も大切だというのが足の観察だ。毎日、手鏡を使って足の裏やかかとを含めてじっくり観察することだという。
「切り傷や亀裂、水疱、乾燥肌、赤みなどがないか、手鏡を使って丹念に見るようにしましょう。問題を発見したら、すぐに糖尿病や足を専門に診ている医師に相談することです」
靴にも注意したい。多くの働く男性が履く革靴は通気性が悪く汗がこもりやすい。とくに雨や雪が降ったときは靴の中に湿気がたまり、蒸れやすくなる。
「靴の中が蒸れると細菌が発生し、感染が広がりやすくなります。足が湿ったと感じたら乾いたタオルで足を拭き、靴下を取り換えましょう」
もちろん、靴は清潔に保つ。毎日同じ靴を履いてはダメ。数足の靴をローテーションで使い、乾かすようにする。
「お風呂上がりなどに足全体に保湿クリームを塗るのもいいでしょう。冬場は想像以上に乾燥しており、足の裏やかかとがひび割れることがあります。そこから細菌感染が起こることもあるので気をつけましょう」
糖尿病の合併症で最も早くあらわれるのが神経障害。糖尿病の人は皮膚の知覚障害を起こしているため、熱さや痛みを感じにくい。そのため、低温やけどに注意が必要となる。
「神経障害が進行すると皮膚の温度に対する感覚が鈍るため、電気毛布やストーブなどの暖房器具を長時間使用している間に低温やけどを負ってしまうことがあります。糖尿病の人は足の動脈が細く、詰まりやすくなっているために、傷に血液が十分行き渡らず、傷の治りが遅れがちです。『このくらい、放っておいても大丈夫』なんて思っていると、足潰瘍や壊疽の原因となってしまいます。下着などに貼り付けるカイロの使用には十分な注意が必要です」
冬場の糖尿病のケアは、まず足の観察から行うことだ。