飲酒量と脳委縮には相関関係が…飲むほどに認知症リスクは増す
アルコール性認知症であれば、つまりアルコール以外に認知機能低下の原因がない場合は、断酒によって認知機能を取り戻すことが可能です。
私の患者さんでも、毎日飲んでいたワインをやめ、生活習慣を改めたところ、かつての「健康な脳」に戻り、仕事に復帰された人がいます。私のところを受診する前は若年性アルツハイマー病と診断され、「5年後には介護」と宣告されるほど、認知機能が低下していた人が、です。
ただ、認知機能が著しく低下してからでは遅い。また前述の通り、アルコールは認知症に関連するほかの病気の原因にもなりますから、対策が遅れるほど、ほかの病気を併発しやすくなり、そうすると打つ手が限られてしまいます。
アルコール性認知症の治療には、断酒は外せません。必要に応じて、アルコール性依存症の治療にも用いる薬の投与も検討します。
加えて、アルコールの大量摂取で脳はビタミンB1、B12、葉酸などが不足しているため、栄養バランスの良い食事を取り、生活リズムやスタイルを規則正しいものにする。
今は、ノンアルコールドリンクもさまざまな種類が出ています。「最近のノンアルはおいしいので、お酒を飲みたい気分を十分に満たせられる」という話も聞いたことがあります。もの忘れが気になる場合は、1歳でも若いうちから、どうお酒と付き合っていくか、考え直してほしいですね。