著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

お笑い芸人オガタ。さんが36歳で急逝…大腸がん若年発症の要因は?

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 肉中心で野菜が少ない食事は、腸内細菌のバランスを悪玉菌優位に傾けます。悪玉菌の中には、大腸がんに影響する毒素を作り出すものがいることも判明。その毒素が大腸粘膜での炎症を激しくすることも、若年大腸がんに関係することも指摘されています。

 がん抑制遺伝子は、細胞のがん化を防ぐ働きがあるため、両親のどちらかにそれが機能しないと、子供はがんのブレーキが1つしかありません。1つでもブレーキがあれば、一見、問題はないのですが、2つのブレーキがある人に比べると、ブレーキ1つの人は発症までの時間が短くなることが分かってきました。つまり、若年発症です。

 一般に発がんにおける遺伝的な影響は、10~20%。決して多くはありませんが、家族に若くして発がんした人が多い方は検査を早めることも有効でしょう。厚労省が推奨する大腸がん検診の対象は40歳以上ですが、20歳から検診を受けてもよいと思います。

 大腸がん検診は、2日分の便を採取する、いわゆる検便です。古典的な検査ですが、2日分の便を3年連続で調べると、大腸がんの発見率は理論上、97%。ほぼ100%近い正確さです。

 たとえ若年発症の大腸がんでも、早期に見つけて切除できれば、治りやすい。ステージ1の5年生存率は98%ですから。大腸がんの罹患数は約15万6000人。日本で最多のがんですから、これらのことは頭に入れておいて損はないと思います。

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