化学療法の前に受精卵の凍結保存を選び授かった子供が希望になった
「この子のために、頑張って、病気を克服し、元気になるんだ」
そう、自分で自分に言い聞かせました。つらい再発治療の中で、Mさんは思いました。
「頑張って治療しても、もしかして自分はダメかもしれない。助からないかもしれない。もし、このまま死んだら、自分の人生は何だったのか? そうだ。自分の生きた証し、自分が生きた意味は、この子を残せたことかもしれない。こんなかわいい子を残せた。そういえば思い出した。若い時、父が言っていた。自分が『何のために生きたか、人生で何ができたか』と問うたとき、父はこう答えた。『おまえたちを残せたことだ』と。そう答えていたではないか……」
そう自問自答して、Mさんは病気と闘いました。しかし、残念ながらその6カ月後、Mさんは亡くなりました。
■白血病では末梢血幹細胞の凍結も
Mさんのお話は、がんになった患者が男性の場合です。女性ががんになった場合でも、化学療法により卵巣機能が低下する可能性があります。また、健康でも、卵子は加齢とともに老化し減っていきます。もし、卵子凍結する場合、実施できるのは35歳以下と決められている施設もあるといいます。