化学療法の前に受精卵の凍結保存を選び授かった子供が希望になった
卵子がどのくらい長く保存できるのか、はっきり分かっていませんが、施設によっては患者が50歳を越えたら廃棄すると決まっているところもあるようです。妊娠・出産の危険度が高くなるからとのことです。たしかに、長く保存はできたとしても、女性が健康で適切な時期に出産することは大事だと思います。
東京都は2023年度、健康な女性の卵子凍結にかかる費用を1人あたり30万円程度助成することに決めました。少子化対策の一環で、未婚の女性が将来の妊娠・出産の可能性を残せるよう後押しするようです。高齢出産にはならずに、若いうちに仕事をしながらでも出産できる、キャリアに不利にならない社会でなければならない--日本社会の大事な課題だと思います。
私は産科の医師ではないので、精子や卵子の凍結に詳しくはありませんが、白血病の治療で末梢血幹細胞の凍結はずいぶん行いました。赤血球を除去し、プログラムフリーザーでCD34細胞をマイナス196度の液体窒素タンクで保存します。いわば“命の保存”です。これも、施設によっては15年経過したものは廃棄されるようです。
私は、亡くなったMさんのことを思うと、奥さん、そしてお会いしたことはない息子さんが、元気で生活されていることを祈るばかりです。