永久歯が抜けても“第3の歯”が生える…「歯生え薬」にかかる大きな期待 来年にも臨床試験計画
失った「歯」が再び生えてくる──。近い将来、そんな治療が現実になるかもしれない。来年7月、世界初となる「歯生え薬」の臨床試験が計画されている。研究を主導する医学研究所北野病院歯科口腔外科主任部長の高橋克氏に詳しく聞いた。
「第3の歯」をご存じだろうか。われわれの歯は3歳くらいまでに生え揃う乳歯、その後、成長とともに生え変わる永久歯があり、永久歯が抜けてしまうともう二度と歯は生えてこないと思っている人がほとんどだろう。しかし、じつは永久歯の次には「第3生歯」があり、その“芽”にあたる第3歯堤が存在している。通常、第3生歯は特定のタンパク質の働きで生えてこない仕組みになっているが、薬の投与によってそれを生やす試みが行われている。
「第3生歯は、『USAG-1』と呼ばれるタンパク質の働きによって成長が抑えられていることが研究でわかりました。そこで、その働きを抑えるUSAG-1中和抗体薬を開発しフェレットに投与したところ、第3生歯が生えたのです。将来的には人間でも第3生歯が生えてくる可能性があるのではないかと考え、まず今回は先天性無歯症患者さんに対する臨床試験を開始する予定で準備を進めています」