「閉塞性肥大型心筋症」の手術は合併症に対する注意が欠かせない
「閉塞性肥大型心筋症」という心臓病があります。大動脈とつながり全身に血液を送り出している左心室の出口にある、右心室との隔壁になっている心室中隔の筋肉が異常なほど厚くなり、左心室から血液を送り出す流出路が狭くなって血圧低下を来す病気です。
肥大型心筋症は無症状のまま天寿を全うする方も少なくありませんが、閉塞性では心臓から全身に血液を十分に送り出せなくなるため、重症化すると「失神」「心不全」「突然死」という3大症状が現れるリスクが高くなります。
日本では、肥大型心筋症は難病に指定されていて、2020年度に認定を受けている患者さんは4481人でした。しかし、心臓エコー検査によるスクリーニングでは人口の500分の1(約24万人)~1000分の1(約12万人)で認められるという報告もあります。肥大型心筋症の30%程度が閉塞性といわれています。患者さんの約半数は家族性(遺伝)で、一部は肥大型心筋症に合併する高血圧により心室中隔の筋肉だけが、より肥大化する後天性のタイプもあります。ほかは原因がはっきりわかっていません。