鍼灸で生活習慣病の対策はできるのか…慢性炎症を抑制する?
2021年、世界的医学誌「ネイチャー」に興味深い論文が掲載されました。それは、足三里という膝下のツボを電気鍼で刺激すると炎症が改善され、マクロファージなどの活動が抑制されたというもの。
抗ストレスホルモンを出す臓器を電気鍼が刺激し、慢性炎症を抑制したのだと考えられています。薬で慢性炎症を抑えようとすると、どうしても正常な臓器の活動まで抑制させてしまいがちですが、鍼灸による効果はもともと体が持っている自然治癒力を活用するので副作用を最小限にすることができます。そんな鍼の特性が改めて証明されたわけですが、残念ながらこの研究はヒトに対して行われたものではなく、ネズミを使ったもの。
とはいえ、ヒトの膝下2センチにあるこの足三里は、昔から知られたツボです。江戸時代の俳聖、松尾芭蕉が旅立ちの前にお灸をすえた様子を、「おくのほそ道」でつづっているのを目にした人もいるでしょう。
他にも、長寿のツボとして、アンチエイジングのツボとして、慢性炎症を防ぐツボ、としての働きも期待されています。