「思春期突発性側弯症」は学級に1人はいる珍しくない病気…学校健診「原則着衣」では見逃される

公開日: 更新日:

 だからこそ、普段の生活や入浴時など、家庭でのこまめな注意が早期発見の上で重要となってくるのだ。

 しかし現状では、学校検診で指摘され、病院を受診した時には装具で側弯を抑制できる時期を過ぎており、治療の選択肢は手術しかない、というケースも少なくない。

 思春期の子供を持つ親は、神経質になりすぎることはないものの、「何かおかしい」を見逃さないようにしたい。

■新装具を開発

 側弯進行を止める装具に関し、白土教授は整形外科向け医療用サポーターの製造でトップメーカーの「日本シグマックス」と共同研究で患者の身体的・心理的負担の少ないものを開発。臨床現場で用いられている。なぜ開発に至ったのか? それは装具の装着時間が長いほど側弯の進行を抑えられる(治療の成功率が高い)が、従来の装具では身体的・精神的負担が大きく、治療のドロップアウトにつながりやすかったからだ。

「装具を1日13時間以上装着することで治療成功率90%という研究報告もあります。しかし従来の装具では、締め付けが苦しい、蒸れる、体育座りができない、睡眠が浅くなるなどの身体的負担に加え、かさばって目立つため、学校で友人に指摘されていじめの原因になったり、洋服が限られおしゃれができないといった思春期ゆえの精神的負担が大きかった。装具を装着しなくなり、側弯が進行し、手術となる患者さんもいました」(白土教授)

 新たな装具は腰椎タイプと胸椎タイプがあり、「軽量」「目立たない」「着脱しやすい」を兼ね備えている。白土教授が所属する会津医療センターを含む7施設で2019~23年に多施設共同研究を施行。装着時間は先行研究より長く高いコンプライアンスが確認され、初期矯正率は目標値と同等だった。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    岡本和真と村上宗隆のメジャー挑戦に“超逆風” 大谷バブルをブチ壊したMLB先輩野手の期待外れ

    岡本和真と村上宗隆のメジャー挑戦に“超逆風” 大谷バブルをブチ壊したMLB先輩野手の期待外れ

  2. 2
    ロッテ佐々木朗希「強硬姿勢」から一転…契約合意の全真相 球団があえて泥を被った本当の理由

    ロッテ佐々木朗希「強硬姿勢」から一転…契約合意の全真相 球団があえて泥を被った本当の理由

  3. 3
    佐々木朗希の今季終了後の「メジャー挑戦」に現実味…海を渡る条件、ロッテ側のスタンスは

    佐々木朗希の今季終了後の「メジャー挑戦」に現実味…海を渡る条件、ロッテ側のスタンスは

  4. 4
    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

  5. 5
    「あぶない刑事」100万人突破で分かった…舘ひろし&柴田恭兵“昭和のスター”の凄みと刑事役の人材不足

    「あぶない刑事」100万人突破で分かった…舘ひろし&柴田恭兵“昭和のスター”の凄みと刑事役の人材不足

  1. 6
    ソフトB山川穂高「無神経ぶり」改めて露呈…31試合ぶり本塁打も身内から異論噴出

    ソフトB山川穂高「無神経ぶり」改めて露呈…31試合ぶり本塁打も身内から異論噴出

  2. 7
    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

  3. 8
    蓮舫候補に一発逆転の「神風」は吹くのか…7.7都知事選「一歩リード」の小池知事を猛追

    蓮舫候補に一発逆転の「神風」は吹くのか…7.7都知事選「一歩リード」の小池知事を猛追

  4. 9
    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

  5. 10
    猛チャージ石丸伸二候補に広がる危機感…広島からは「あんなぁ都知事に押し上げちゃいけん」

    猛チャージ石丸伸二候補に広がる危機感…広島からは「あんなぁ都知事に押し上げちゃいけん」