京丹後の研究で見えた「健康で長生きする」ためにやるべきこと…腸内研究の第一人者に聞いた
「世界最高齢の116歳54日は、京丹後の男性の記録です。この方は2013年に亡くなられましたが、この記録はまだ破られていません」
■腸内環境に注目
長寿かつ健康の理由として内藤教授が着目していることのひとつが、腸内環境だ。
「高齢者ほど重症化しやすい感染症であるインフルエンザの罹患率が、京丹後の高齢者は低いのです。リンパ球を調べると免疫力が平均的な高齢者に比べて高い。また、京丹後では大腸がんが少ない。免疫力や大腸がんは、腸内環境との関係が非常に深い」
サルコペニアやフレイルが京丹後の高齢者には少ないと前述したが、それも腸内環境が関わっている可能性がある。腸内環境が悪く、腸管に炎症が起こると、それが微小であっても全身の炎症につながる。慢性的に炎症が体内で起こると、大量のエネルギーを必要とするため、筋肉が分解されてしまう。
フレイルに、腸内細菌が関係していることを示した研究もある。それは、筋力が低下しやすい慢性腎臓病の人を対象にした研究で、それによると大腸菌の一種であるシトロバクター菌が多いとフレイルが進行しており、酪酸菌(酪酸を産生する菌の総称)の一種であるロゼブリア菌が多いほどフレイルになっていなかった。