歩くのがつらく眠れない夜も…河西健司さん脊柱管狭窄症との苦闘を語る
なるべく立ってこまめに動くようにしている
家内の実家が赤坂で居酒屋を経営しているので、私も今は自宅から店まで30分くらいかけて歩き、毎日店に出ています。本当は軟らかい土の上を歩くほうが骨に衝撃が少なくていいのですが、アスファルトの道路を歩くしかないので、柔らかい厚めのソールの靴を履いて、ゆっくりゆっくり骨に響かないように歩いています。
つまずきやすいので、姿勢は前傾にならないよう、雪上を歩くようにやや後ろに重心を置いて、足指で地面をつかむように心がけて歩いています。エレベーターやエスカレーターも極力使いません。
ときどき、ズキーン! と、骨がこすれ合うような激痛があり、これがきたら立ち止まって休む。しばらくすると治まるので、またゆっくりゆっくり歩き出す……という感じです。
座っているときも、尾骨のあたりにジンジンと痛みがあります。だから、硬いところにはあまり座らないようにして、座らなければいけないときは柔らかいクッションを敷いて座り、左に体重をかけないようにして、腹筋を使って姿勢も正して座ると少し楽ですね。
でも、そもそもあまり座らないようにしています。ジッとしていると全身が硬くなるので、なるべく立ってこまめに動いています。店の食材の仕入れや掃除、洗い物、ときにはお運びもしますので、ほどよく動いています。
合間を見つけては、ゆっくりした軽いストレッチや運動もしています。スクワットを30回したり、散歩の途中に公園があったら、鉄棒につかまって背中や肩を伸ばしてみたり。1日何回と義務化するんじゃなく、こまめにやる。
寝るときは左を下にせず、うつぶせで背中を反るのも怖いので、上向きか、右を下にして寝ています。起床時には両手もこわばっているので、20回ほどグーパーしてほぐし、軽く全身のストレッチをしてから動きます。
痛みの本当の原因が腰部脊柱管狭窄症なのか股関節にあるのか、複合的なものかわかりませんが、要するに老化なんですよね。私の場合、70歳前後から肩も痛くて上がらないとか、手指も硬くなるとか、あちこち不調が出ていました。全身の潤滑油が減って、柔軟性がなくなっているんですよ。
体は少しずつ衰えることで、緩やかに死の準備をしているのだと思うのです。それを止めることはできないし、外科手術は検査や入院も大変ですから、できるだけ避けたい。だから無理のない範囲で現状維持に努める。その程度でいいんじゃないかと思っています。
(聞き手=中野裕子)
▽河西健司(かさい・けんじ)1949年、長野県諏訪市生まれ。中央大学文学部在学中、演劇研究会に入り芝居漬けの日々を送り、26歳のときにロックミュージカル劇団「ミスタースリムカンパニー」を結成。82年の「あんちゃん」(日本テレビ系)で連続ドラマ初レギュラー。代表作にNHK連続テレビ小説「かりん」「ひまわり」「さくら」や「踊る大捜査線」(フジテレビ系)シリーズなど。