睡眠中は脳の代謝「デトックス能力」が低下するとの最新研究
人が眠っている間には「脳がリフレッシュされる」という考え方があります。脳には有害な物質を掃除する役割を持っている細胞があって、脳脊髄液を介して、それを脳から排泄するような仕組みがあるのです。これを「グリンパティックシステム」と呼んでいます。
この脳をクリーンに保つ働きは、睡眠、特にノンレム睡眠という深い睡眠の時に高まるという研究結果があり、それが事実として信じられてきました。
たしかに睡眠不足は認知症のリスクを高め、認知症の原因のひとつが、脳に有害な物質が溜まることであるのは間違いがないので、睡眠不足で脳のデトックス効果が低下したと考えると、理解しやすいことは事実なのです。
ところが、今年の神経医学の専門誌に発表された最新の研究では、睡眠中には脳の代謝は低下して、有害物質を排泄する働きも、起きている時と比べて約30%低下すると報告されたのです。どちらが正しいのでしょうか?
こうしたデータはほとんどがネズミなどを使用した動物実験で、人間で分かっていることはあまりありません。したがって、どちらが正しいとも今の時点では言い切れないのです。ただ、睡眠を十分にとることが、認知症を含めて多くの病気の予防に繋がることは間違いのない事実なので、睡眠のデトックス効果は確認されていなくても、睡眠が健康に良いことは科学的に証明されているのです。